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温度調節の話
なぜ、温度調節が必要なのでしょうか。それは、例えば豚肉でハムやベーコンを作ろうとする時など、67度を越えると肉に火が通ってしまい茶褐色になって「焼き豚」になってしまうからです。チーズなどは溶けてしまいます。そこで温度調節が必要なのですが、初級、中級、上級、ほとんど悪趣味に分けて解説しましょう。
初級
まず、天ぷら鍋などに使用する温度計を用意します。「なければ買って来い!」と言いたい所ですが、この温度計は単体で買うと2500円位します。「温度計付き天ぷら鍋」はディスカウント店などで980円くらいですので、鍋ごと買ってしまいましょう(笑)
温度計を薫製箱にブッ刺します。電気コンロには強・弱、もしくは5段階くらいの調節が出来るものが多いので、それで荒調節します。
次に薫製箱の天井に10センチくらいの穴を明けて、温度が低いようだったら板などで少し塞いで、全部開放しても温度が高いようだったら、穴を広げるか、もう1つ穴を明けて温度調節をします。
中級
やはり、天ぷら鍋用の温度計を用意してください。
それからサーモスタットを買ってきましょう。サーミスタと言う測定素子が付属してるか別売りで購入しなくてはいけないのですが、その時に「薫製器を作りたいので、0度から100度まで測定できるものをください」と必ず表明してください。それからほとんど大丈夫だと思うのですが、最低でも100V10Aくらいの開閉が出来るものを選んでください。
配線の際は感電しないように十分ご注意下さい。
次にセッティングですが、天ぷら温度計とサーミスタと電気コンロを薫製箱にいれます。
温度の調節方法ですが、こたつのサーモスタットみたいなモノなので、温度計を見ながら調節つまみを回して、目的の温度で切れるようにしましょう。
これで温度調節は自動になりました。らくちんですよ。後は煙が絶えないように時々確認して、スモークウッドを足していってください。
上級
ちょっとウンチクを語らずにはいられません(笑)
なぜサーモスタットでは満足できないのか?
第1に天ぷら温度計の目盛りが荒くて、今が63度か64度か65度かわからないし、しかも反応が鈍いです。
第2にON/OFF動作には欠点がある事です。薫製箱を60度にしたい場合、薫製箱内が60度になってからコンロの電源を切ったのでは間に合わないのです。なぜならコンロの電源を切っても、コンロの温度は瞬時に室温に戻る事はないからです。そのためサーモスタットで電源を切っても薫製箱内の温度は上昇してしまい、60+5度ぐらいまで達してしまいます。
下限温度にも同じ事が言えて、57度になったら電源が入るようにセットしても、コンロはスグには熱くならないため、57−5度くらいまで下がってしまいます。ですのでサーモスタットの性能はプラスマイナス3度の性能でも、薫製箱の温度は13度もの間を行ったり来たり(ハンチング)してしまうのです。
ここから先は趣味の世界と言うか、性格の問題ですが(^_^;) それから自作するには、ちょこっと電気の知識が必要かも知れません。
さて、上記の問題を解決するために、いくつかの方法があります。読むのがカッタリー人はジャンプ!
比例制御(P)
設定値の周辺に比例帯を設けます。たとえば60度を設定値として、プラスマイナス5度を比例帯とした場合、55度で比例制御に入るわけです。比例制御とは比例帯より低い温度では100%を出力して、比例帯より高い温度では0%を出力、そして比例帯の中では、その温度に対して出力を変化させる事です。
たとえば現在57度だったら比例帯幅が10度あって2度入っているのだから、20%ほど比例帯に入ったと言い、80%の出力をします。62度なら30%の出力になります。60度では50%の出力となるわけです。
これを動作と組み合わせて、62度だったら1秒間に0.3秒間ONにします。これによって設定温度に近づけていくので、温度の乱れ(いわゆるハンチング)が減少するのです。
積分動作(I)
比例制御にも問題があって、設定値の60度は50%で成立できるかというと、オフセットが発生してなかなか設定値には成らないのです。そこで温度変化を積分して時間経過によってオフセットをなくすようにします。
微分動作(D)
比例制御や積分制御では、起こった変化に対して、時間が経つことによって制御しますので、突発的な外乱(スモークウッドを入れるために扉を開けるなど)に対して、非常に弱いものです。そこで起こった偏差の傾斜(微分係数)によって出力を変える事により、急激に温度が下がれば、急激に温度を上げようとするのを微分制御と言います。
これらの3つの制御を組み合わせる事によって、設定値から離れる事無く、しかも外乱に強い温度調節が可能になります。これをそれぞれの頭文字を並べてPID制御と呼んでいます。私はこのPID制御で薫製を作っています。と言うと「こんな装置を作れない、素人には絶対無理」と思われるかな。ちょっと高価なので、かなり思い切らないと買えませんが、63度ってセットすると、63度になるのは快感です(笑)
次に測定素子なんですが、サーミスタではなく熱電対と言うのを使用します。2種類の金属が接すると、そこに熱起電力が発生することを利用した素子で、手軽に入手出来るK−CA(クロメルーアルメル)タイプが良いでしょう。直径は1ミリか1.6ミリが良いでしょう。細い方が反応が速いです。取り付ける時には極性を間違えないように注意してくださいね。
ほとんど悪趣味(^_^)
ここまで凝ったのですから、電気コンロを制御するリレーにもこだわりました。普通の接点式のリレーでは、ON/OFF時にバチッとノイズが発生します。ウチなどは古いオーディオとかあるので、スピーカーが壊れるような音が出ます、パソコンもシールドが弱いのを使ってるのでフリーーーーズ!します。
そこで、無接点のSSR(ソリッドステートリレー)ですね。ついでにもっとノイズを減らすために、ゼロクロス動作のを選びました。ゼロクロスとは交流の波がゼロになる時にON/OFFするカシコイ機能です。
さて、この凝りに凝った温度調節器、以前から作って欲しいとのご要望があったのですが、けっこう高価なので、買って後悔されては嫌ですので断わっていました。しかし「それでも、温度調節に悩んでいるので作ってくれ」とのご要望も度々あり、受注生産ではありますが、製作することにいたしました。
興味のある方は下の写真をクリックしてください。製品情報をご覧いただけます。
温度調節にこだわりたい貴方様のために・・・

薫製温度調節器
これからの夢
ここまできたら、あとはRS-232C出力の温度計が出てるのでパソに取り込んで、固定カメラを設置してインターネットで中継して・・(笑)
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